/* THKアクセス解析 */
管理人ayu

福岡市在住。エンタメ、ラジオ、音楽、ガジェット好きです。2000年頃から長いことやってます。日々の暮らしを豊かにする何かを探しております。
SNSでは毎日なにかしらのオススメを更新しております。どうぞ宜しくお願い致します。
詳細な自己紹介 → このサイトについて
はじめての方にオススメ → 今月の人気記事一覧

twitter  instagram

ルパンの最期

[コピペ]切ない

335 名前:Mr.名無しさん 投稿日:2007/07/14(土) 21:46:19

窓からの光が、室内の塵に反射して瞬く。無機質で、どこか寒々しい病室。
そこに、ルパンがいた。
薄水色の病院服の上に赤いジャケットを羽織り、ベッドの上に腰掛けていた。
大きく息を吐くと、銭型は病室へと足を踏み入れた。ルパンを、逮捕するために。
捕まえる? この今にも死にそうな病人を?
長年夢見てきた事だというのに、銭型にとってそれは既に無価値だった。

「よく来たなぁ、とっつぁん」

人を食ったような態度でルパンが声をかける。
掠れきった声、扱けた頬、体中に繋がれたチューブは心電図へと繋がっている。
かつての面影は、ほとんど残っていない。
そこにいるのは、死を目前に控えた一人の病人だった。

「ルパン、何で貴様がこんな……」
「天下の大泥棒にも、勝てない物があったってことさ」
「一生をかけて追い続けて来て、こんな幕切れとはな」
「そんなら見逃してくれよ、とっつぁん」
「そればかりは出来ん相談だな。ルパン、貴様を……貴様を逮捕する」
「ごめんだね。俺ぁ逃げるぜ」
「今の貴様に何が出来る」

銭型の言葉に、ルパンはにやりと笑った。

「どうかな?」

ジャケットから取り出したのは、ワルサーP38。それを自らのコメカミに押し付けて言った。

「あばよ、とっつぁん」

銃声がコンクリートの壁に反響する。急激に乱れた心電図は、数刻の間にフラットとなった。
してやったり。
銭型の脳裏に焼きついたルパンの最期は、そんな、いつも通りの彼の姿だった。

「ルパンめ……まんまと逃げおった……」

銭型は、失われた何かが再び燃焼し始めるのを感じていた。
コートからガバメントを抜き、セーフティを解除する。

「逃がすものか。どこへ行こうが必ず捕まえてやるぞ、ルパン」

[コピペ]切ない

Posted by ayu