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棺桶に収まっちまう前に

396 :日出づる処の名無し:2009/10/10(土) 20:32:00

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十代の時、北海道のちょっとした岬で、凄いカッコイイジィさんに会った。
全身を真っ赤なレーシングスーツで身を包み、見事な白髪はオールバック。
横に止めてあるのはZX-10 ナンバーは久留米・・・。
バイクに引っ掛けたメットもスーツと色調を揃えたフルフェイス。
岬の椅子に座ってタバコを吸っているんだけど、妙に前傾している・・・。
近づいてみるとかなり高齢な様子・・・。ちょっとビックリしつつ話してみたら、もっとビックリした。


80才だと言う。もうすぐ棺桶に収まっちまう前に、憧れの北海道を走ってこいとバァさんに言われて、出来るだけ陸走して来たそうだ。
後は無事に自宅に帰って、バァさんに土産話をするんだ、とニコニコしながら話してくれた・・・。
若い時から乗っていた。コケて骨折も何回もした。でも止められなかった。
結婚してからコケて入院したら、バイクの先輩に「嫁を泣かすな下手糞!」って骨折した足を殴られ、
「無事これ名人!無事これ名人!肝に刻め!!」って言われて以来、一度もコケてない。
要は決意だよって爽やかに語ってくれた。 正直、メチャメチャカッコイイと思った。 こんなジジィに成りたい・・・。


一頻り語ってくれたジィさんが立ち上がった時、前傾姿勢のままだった。腰が曲がってるのだ・・・。
「ははは、仕事で痛めてるから、もう伸びねぇのよw でも前傾姿勢のバイクにはピッタリさwww」
確かに跨ったら見事に形にハマった・・・w 本当に乗り慣れている人らしく、流れるような作業でメットを被り、グローブを履き、エンジンを掛け
「じゃあな、若いの!まだまだ若いもんにゃ負けんし、歳にも負けんよ!」
その声と共にエンジンが雄叫びを上げ、見事なウィリーで加速していった・・・。


見通せる道の向こうまで行った時、ジィさんはUターンして戻ってきた・・・。
「おい、若いの!そこのタンクバック取ってくれ! いやいや、ボケには勝てんワイ わははははは!」