タクシードライバー
それは、出張先愛媛県は松山での事だった。
ホテルに向かう間のタクシーでの出来事。
あまりに車内が静かだった為、暇つぶしに運転手さんに話し掛けることにした。
僕(以下A)「松山の名物料理ってなんですか?」
運転手(以下「運」)「え?松山ってところはねぇ、名物料理ってものはないんですよ。」
A「あ、そうなんですかぁ。そりゃ残念です。」
運「そのかわり、瀬戸内海でとれる魚が美味しいよ。おじさん、漁師の町の生まれだから、魚には詳しいんだ。」←得意げ
A「へぇ、そうなんですか。魚が美味しいんですね。」
運「おじさん、魚を見れば一発でどこでとれたかわかるんだよ。なんせ漁師の町のうまれだから。」
A「えぇ?!魚を見るだけでわかるんですか?一体どうやって?」
運「昔はねぇ、漁師の人に連れて行ってもらったもんだよ。あ、ウチは漁師じゃないんだけどね。」
A「はぁ。(魚の見分け方は・・)」
運「船といっても昔の船は機械がついてない
の船で漁に出かけたもんだよ。あ、ウチは漁師じゃないから、ウチの船じゃあないんだけどね。」
A「(漁師じゃないのはさっき聞きました。)・・・」
運「漁といえば、やっぱり潮!これに限るよ。潮の流れがその日の収穫を左右するといっても過言ではない。海に出ると大きな縄を持ってきてね、それで・・・」
(あまりに長い漁の説明のため中略)
運「・・・というわけでね、
A「潮!なんですね?それは知りませんでした。」←面白そうだから合わせることに。
運「だろ?若いもんは潮を見ないからコマル。蛸壺だってそうだ。潮の流れが早いとタコは壷に入って・・・」
(あまりに長いタコ壷の解説の為、中略)
運「・・・というわけで、やっぱりタコも
A「
」
運「潮の流れを読むという点では犬も一緒だね。おじさんは犬も好きでねぇ。」
A「
あ、犬なら僕も好きです。かわいいですよね。」
運「何の犬を飼ってるの?」
A「ゴールデンです。かわいいです。」
運「あ?(怒)
」
A「・・・(なんだと?)」
運「おじさんは沢山飼ってるんだよ。柴犬だろ?そして土佐犬、あ、これはもう死んだか。そして秋田犬、あ、これも死んだ。」
A「(別に死んだ犬のハナシはいいって)」
運「そして四国犬、コレに限る!」
A「初めて聞きました。そんな種類の犬がいるんですね。」←このときはそんなのいる訳ねぇって思った。
運「そりゃあ、きりっとしてて賢くて力強いよ。」
A「賢そうですね。。」
運「ただね、機嫌の悪いときをよっく見て判断しないとあれだ、
」
A「はぁ・・
」
運「という訳でだ、やっぱり潮の流れを読むのは大切だ」
A「やっぱり<潮>なんですね!(
)」
運「そりゃそうだ。潮が止まっているときは・・・・」
A「・・・あのもう着いたんですけど。(怒)」
寂しかった車内にも気持ちよい風が流れて僕は心地よい眠りに着くことができたとか、できなかったとか。
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