548 :名無しの心子知らず 投稿日:2010/04/11(日) 00:20:38
息子が幼稚園年長さんの時の運動会。
プラグラム最後の競技、年長さんクラス対抗リレー。
クラス対抗といっても田舎なのでニクラスしかない。
一クラス約30人の園児が男女混合で、小さな校庭のトラックを半周ずつ走りバトンを渡していく。
アンカーだけはトラックを一周する。たかが園児のリレーと侮るなかれ。
毎年、いい勝負になり結構ハラハラドキドキだったりする。
どれ、うちの息子の走るところを見ようかと観客席をかき分け前に出る。
息子の走る順番は座って待っている位置から考えるに、アンカー一つ手前の走者のようだ。
先生のヨーイドンでスタート。
観客席の親もトラック内の園児たちも一斉にワーワー応援を始めた。
レース終盤、息子のクラスは背の高いおとなしそうな女の子にバトンが渡った。
その女の子はうちの息子にバトンを渡すはずだ。
バトンを受け取った女の子は走りださず、ニコニコ笑ってその場に立っているだけ。
俺(お?)
先生がそばに駆け寄り、女の子の手を引いてゆっくりとトラックを歩き始めた。
女の子の足取りはおぼつかず、ゆっくりゆっくりとニコニコ笑いながら
トラックを歩き息子の方に歩いてきた。
息子のクラスは
「あーちゃーん、頑張れー!!」
「もう少しー!!」
クラス皆で手を振りかざし飛び跳ねがら、おいでおいでをしている。
息子のクラスは相手クラスよりもだいぶリードしていたが、その女の子が歩いている間に
逆転されてしまった。相手クラスはアンカー手前の園児にバトンが渡っていた。
ようやく女の子がバトンを息子に手渡すと「ワーッ!!」と歓声があがった。
ここで園内放送。
549 :名無しの心子知らず 投稿日:2010/04/11(日) 00:21:30
「さあ、そら組が誇る二人の韋駄天、B君とC君にバトンが渡ります。まだまだ勝負はわかりませんよー!」
B君とはうちの息子。
息子が脱兎のごとく駆け出す。
親ながら「おおっ、速い!」と思った。
しかもトラックを一周している。アンカーとその前の走者は今年に限り一周走るようだ。
息子からアンカーにバトンが渡る。C君が園児にしてはグチャグチャに速い。
みるみる間に先行する相手アンカーとの距離を狭める。
ついに相手クラスのアンカーを捕まえ、ゴール前で抜き去った。
息子のクラスの園児は狂喜乱舞。
その女の子を皆で囲み
「あーちゃん、頑張ったねえ!!」
あーちゃんと呼ばれた女の子は相変わらずニコニコと笑っているだけだ。
ただ皆が喜んでいるのは伝わっているようで時折うんうんと頷いているように見えた。
男子も女子も関係なくあーちゃん、あーちゃんと言って、あーちゃんの周りに集まっていた。
傍らでその光景を見ていた先生がずっと目尻を押さえていた。
家内に聞いた話ではあーちゃんは軽度の障害を持っていた。
幼稚園の先生なりに色々と悩んだと思う。
心無い保護者から「なんであんなのをリレーに出したんだ」と言われかねない。
しかし、レースは例年通り白熱の展開となった。
アンカーとその前の走者の走る距離を一周にして、更に韋駄天を配置する。
先生、まさしく策士。