14年前の千円札
234 名前: おさかなくわえた名無しさん 投稿日: 2007/08/29(水) 07:20:20
学生時代、貧乏旅行をした。
帰途、寝台列車の切符を買ったら、残金が80円!
もう丸一日以上何も食べていない。家に着くのは約36時間後…。
空腹をどうやり過ごすか考えつつ、駅のホームでしょんぼりしていた。
すると、見知らぬお婆さんが心配そうな表情で声を掛けてくれた。
わけを話すと、持っていた茹で卵を2個分けてくれた。
さらに、私のポケットに千円札をねじ込もうとする。
さすがにそれは遠慮しようと思ったが、お婆さん曰く、
「あなたが大人になって、同じ境遇の若者を見たら
手を差し伸べてあげなさい。社会ってそういうものよ」
私は感極まって泣いてしまった。
お婆さんと別れて列車に乗り込むと、同じボックスには
お爺さんが。最近産まれた初孫のことを詠った自作の
和歌集を携えて遊びに行くという。
ホチキスで留めただけの冊子だったので、
あり合わせの糸を撚って紐を作り、和綴じにしてあげた。
ただそれだけなんだが、お爺さんは座席の上に正座して
ぴったりと手をつき、まだ21歳(当時)の私に深々と頭を下げた。
「あなたの心づくしは生涯忘れない。孫も果報者だ。
物でお礼に代えられるとは思わないが、気は心だ。
せめて弁当くらいは出させて欲しい。どうか無礼と思わんで下さい」
恐縮したが、こちらの心まで温かくなった。
結局、車中で2度も最上級の弁当をご馳走になり、
駅でお婆さんに貰ったお金は遣わずじまいだった。
何か有意義なことに遣おうと思いつつ、
その千円札は14年後の今もまだ手元にある。
腹立たしい老人を見ることも少なくないけれど
こういう人たちと触れ合うことができた私は物凄く幸運だ。
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コメント一覧
これみるたびに増量されてるよな
イイハナシダナー゚∀゚