良い父親
190 名前:名無しの心子知らず 投稿日:02/11/18 21:13
良い父親とは何でしょうか。
休みの日には遊びに連れて行ってくれる父親でしょうか。
優しい父親でしょうか。
よく話を聞いてくれる父親でしょうか。
私は父に誉められた記憶は多くありません。
「よし」と一言言ってもらうのが最高の報酬でした。
一緒に遊んだ記憶も多くはありません。
父はいつも大きく、無口で、岩のようでした。
父が若くして死んだとき、私は初めて、父の偉大さを知りました。
駆けつけてくれた人の数。
泣きながら棺を叩き、俺より先に死ぬとは何事か、と怒鳴った人。
まだ恩を返していないのに、と泣き崩れた人。
通夜の後、棺の上にコップを置いて、いつものように父に話し掛け、酒を酌み交わす父の友人達。
8回忌を迎えた日、呼んだわけでもないのに集まってきた多くの人達。
191 名前:名無しの心子知らず 投稿日:02/11/18 21:14
父は骨髄癌の激痛の中、死のわずか10分前に私を呼んで言いました。
母を守れ。弟を守れ。妹を守れ。祖父を守れ。祖母を守れ。
男は、誰かを守って死 ね。俺のような死に方はするな。
俺が死んでも泣かなくていい。
人が死ぬとはどういうことか、よく見ておけ。
そして母に、かすれる声で言いました。
皆によろしく伝えてくれ。悪いな、俺はここまでだ。
最後の言葉でした。
主治医の先生が心臓マッサージをしてくれましたが、蘇生はしませんでした。
最後は母が、先生を止めました。
主人を楽にしてやってください、と。
私はただ圧倒され、何も言えず、何も出来ず、涙を流すだけでした。
私は今月、父親になりました。
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