俺が出会った不思議な男の話をしよう
俺が出会った不思議な男の話をしよう (2 / 4)
散らかった缶を袋に入れてFのカバンに詰めると、
俺は布団の上に横になった。F・Y・俺の形で寝ることになった。
電気を消すと、Yが俺の布団の領域に侵入してきた。
そして、耳元に唇を近づけて、ぼそっと呟いた
「なんで、邪魔するんだよー、まったく」
「え?Yってあっち系だったのか・・・?」と聞くと
「な訳ないじゃん・・でも、F君の弱みを握れたらいろいろと便利かなーと思ったのにさ。
もうちょっとあの段階から進んでれば、F君は確実に誤ったことをしてたと思うんだ」
「でも、お前の体が危ういだろ。」
「最初から僕が酔ってたなら話は別だけど、酔ってたのはF君だけなんだし
買わせたのも飲ませたのもF君な訳なんだから、何も問題なかったはずだよ?」
「・・・・寝るよ、おやすみ」
Yよ、お前は手に負えないよまったく
132: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:46:45.59 ID:HLILcddZO
怖いなー
133: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:47:08.13 ID:ZHgpX36/0
しかし翌日、バスに乗るときにTちゃんとFが手をつないでるのを見て俺は
「理不尽な世の中だ・・・やっぱりYみたいな制裁を下す人間はこの世に必要だな」
と感じた。
それ以降は、大きな事件もなく、3年生までのんびりとすごすことができた。
136: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:53:45.89 ID:ZHgpX36/0
ある日突然、バスの中でYと話していると、話題は高校の話に。
「なあ、Yは高校どうするんだ?」と聞くと
「ああ、行かないよ」という一言に俺は、噴出しそうになった。
「ええー、行かないってどういうことだよ。仮にも、私立だからエスカレーターなんだぞ?」
「楽に行けるならそれに乗っかったほうがいいってこと?」
「・・・まあ、そういうことだろう」
「でもさ、1君自身は楽に入れても、それをさせるための親の負担はどっちでも一緒なんだよ?
受験してもエスカレーターだとしても。」
Yはたまに正論を言ってきちゃったりするから、言い返せなくなる。
その時の俺も、そんなことを考えたことがなくて
妙に何も考えていない自分とFの姿が重なって、くやしかった。
138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:56:36.86 ID:Orde6C0sO
追い付いた
ふぅ
139: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:57:21.54 ID:Us6zxpOyO
Yの現状が気になる…
中学生ってこんな大人だっけか?
馬鹿は私だけだ(T-T)
141: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 01:58:33.60 ID:ZHgpX36/0
そしてまたある日、宿泊研修以来あまり会話を交えていなかった
Fから突然の誘いがきた。
「今度、女3人男2で酒パーティするんだけど、こないか?」
「お前、まだ中3だろが」
「"もう"中三なんだよ。むしろ遅いぐらいじゃないか。
この機会に、ぱーっと開放的になってみたらどうよwwww」
正直、俺も若かったので性欲もあったし、参加する子がそれなりに可愛い子だったので
昔の俺なら迷うことなく言ってたかもしれないが、何故かYに相談するという選択肢を選んでしまった。
144: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:02:15.32 ID:ZHgpX36/0
「~~~という訳なんだが・・」
「いいんじゃないの?行ってくればいいと思うよ」
「でもさぁ、なんかひっかかるんだよなぁ」
「うん」
「Yは、女の子と遊びたいとか、思わないのか?」
「今は・・・・もう、いいや」
「何かあったのか?」
「何も。少し忙しいだけだよ」
この頃の俺は、完全にリア充気分だったのがいかに愚かだということに気づかなかった。
147: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:05:47.74 ID:ZHgpX36/0
自分の人生の一大イベントを、さほど好きでもない女と終えてしまい、
のほほんとした気分で、あとは高校に上がるのを待つだけという俺は、
Yが進学しないことを思い出して、最後にもう1回遊べないか聞いてみることにした。
バスの中で、Yと乗り合わせた日に、聞くと
「全然いいよ。うちには誰もいないし、いつでも来てもよかったんだけどね」
と快く歓迎してくれた。
「OK、じゃあ次の金曜日に服もって行くぜ」
と約束を交わした。
148: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:08:09.05 ID:Us6zxpOyO
どきどきwww
150: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:09:57.03 ID:ZHgpX36/0
そして、待ちに待った金曜日。
一緒のバスの中で、初めて会った時の話をした。
「そういえば、初めてお前見つけたとき、自殺マニュアルみたいな本読んでて
変な奴だなーと思って話しかけたんだな」
「これ?」
と言って、Yがカバンからその本を取り出したので俺は焦りながら
「ま、まあそれだよ。大事にしてるんだな」とフォローすると
「死に方も学べないような人に、生き方が学べるとは思えないってお父さんがよく言ってたから・・」
と呟いた。
なんだか、すごくYが遠くにいる人のように感じられた。
152: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:13:39.00 ID:ZHgpX36/0
Yの家に入ると、2年前と何も変わっていなかった。
靴べらも同じままだったし、入って右のリビングには相変わらず
ダンボール箱が数個置かれてるだけだった。
「布団、敷くね」と言って、Yが2枚敷いた。
「あれ?お前、その布団どうしたんだ?」と聞くと
「いつか、また1君が来るんじゃないか・・って2枚・・買っておいたんだけどね」
「そうだったのか、なんだか悪いな」
その日は部活があったので、俺はすぐに寝てしまった。
154: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:17:05.73 ID:ZHgpX36/0
早く寝すぎたせいか、俺は夜中に目が覚めたので隣を見てみると
Yの姿は無かった。変だなと思いつつ、立ち上がって家を物色すると、
リビングとは反対側の部屋でYが座って何かをしていた。
「どうした、何してるんだ。もう3時だぞ」と話しかけると、
Yは座ったまま寝ていた。
手元には、組み立ててる途中のうちわが落ちていた。
隣のダンボールには、たくさん重ねられたうちわ。
左には部品と思われる物。
昔も、どこかでこんな光景を見たことがある気がした。
155: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:17:21.26 ID:8NnFuca4O
なんかせつなくなってきた
160: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:19:56.99 ID:O8RhdxX7O
地味にずっと保存しておきたいスレだな
161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:20:05.70 ID:FwtmMIuuO
おれもなんだか
せつなくなってきた
162: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:21:30.16 ID:ZHgpX36/0
とっさに、憶測のようだけど、すごく筋の通った考えが浮かんだ。
高校に行けないのもの、こんな内職をしてるのも、
俺に金の話をしたのも、もしかしたら金が無いから・・・という
単純な理由だったからなのだろうか・・・
ああ、自分が情けない。そんなことにすら気づけなかったのか・・
と思うと、その場で立ったまま、くっくっと泣いてしまった。
170: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:26:33.59 ID:ZHgpX36/0
それに気づいたのか、Yが立ち上がった。
「どうした~、こんな時間に。おきちゃったの?」
と明るく話しかけられると、余計に悲しくなってその場で突っ伏して泣いた。
「ああ、すまん、ごめん、ごめんなさい」ってずっと言ってる俺を見て
「何のことか良く分からないよ・・・」とYは困惑していた。
「ごめんな・・ほんと、気づいてやれなくて・・・」
「いや、別にいいからさ、ね。もう遅いし、寝ようよ」
Yのやさしさが身にしみた。
176: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:30:06.54 ID:ZHgpX36/0
朝になって、4時半に時計の針が回ったところで、Yを起こした。
「ん・・・どうした?」と寝ぼけているYに
「4時半になったし、佐々木食堂が開く前に飯食わせてもらいにいかないか」
「・・・・・」
「まだ眠いんだったら別にかまわないぞー」
「・・・・」
「ごめん、眠いよな。無理に起こしてすまんかった」
「いや、違うんだよ、1君」
177: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:30:56.24 ID:HEYug/DT0
wktk
181: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:34:11.23 ID:ZHgpX36/0
「佐々木さんさ、半年前に亡くなってさ・・・」
急に鼓動が早くなった気がした。
「その日、いつもみたいに行ったら、休業中でさ・・」
それ以上話さないでくれと頭がサイレンを鳴らしていた。
「息子さんが出てきて・・その・・・・」
「分かった、聞いてすまんかった。ひどい奴だな、俺って」
「いいよ、もうだいぶ前のことだし。」
最後の食った佐々木さんの飯が、宿泊研修のあの弁当だと思うと、
急に切なくなった。いろいろな思い出が、ゆっくりと流れていくようだった。
188: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:38:58.49 ID:YlLE10rbO
追い付いたw
191: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:41:52.11 ID:ZHgpX36/0
「今日はもう俺、帰ったほうがいいか?」
「いや、1君にはいてほしいな・・・」
「でも・・・分かった、ごめんな、俺でもいいなら」
「構わないよ、1君といると、気が楽だから・・」
「本当か?昨日から俺のせいでいろいろ・・さ」
「くよくよしててもしょうがないじゃん、遊ぼうよ。せっかくだしさ」
そういって、64を引っ張り出すと、スマブラを始めた。
Yはカービィだった。
結果は、何とか健闘して俺が勝つことができた。
「すごいじゃん、勝ったじゃん!」
「違うよ、お前の負け方がうまいんだって」
「はは、上手に負けるなんて無理だってw」
「でも今はそうだったろ?」
「違うよ~」
192: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:44:56.39 ID:ZHgpX36/0
うう・・・眠いorz
こんなチラ裏スレに付き合ってくれてすごく嬉しいよ。
このスレが残ってたら、書かせてもらうよ。
ほんと、ここまで付き合ってくれてありがとう。
これでやっと7割ぐらい進んだぐらいだから、まだ続く。
みんな、あんまり無理するなよ。
193: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:46:20.65 ID:YlLE10rbO
最後まで読ませてもらうぜ!!
194: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:46:46.48 ID:1Bw59rz70
あら、>>1がリタイアか
俺も寝るか
197: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:51:55.83 ID:63H7PMEXO
保守ろうぜ!
200: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:53:17.02 ID:7E+LTOJg0
保守
201: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 02:53:43.28 ID:0SbD5LHr0
こんなに気になる所で終了とは・・・
219: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 03:16:25.20 ID:NN3AAyC0O
保守
221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 03:18:53.99 ID:qWu8/hBLO
捕手
229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 03:26:12.18 ID:HLILcddZO
ほ
240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 03:43:43.37 ID:6RwHmD6QO
あげえ
241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 03:43:58.03 ID:VQzD+4qP0
ほ
258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 04:16:04.42 ID:6RwHmD6QO
age
276: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 04:58:05.58 ID:qWu8/hBLO
保守
281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 05:24:16.31 ID:e1/B4LfkO
ほしゅ
337: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:17:09.72 ID:ZHgpX36/0
>>1です。11時半から用事なので家を一旦出ますが、その前に。
しばらく遊んで、飽きた俺たちはそのままぐっすりと寝た。
次の日の朝に、俺は早めに起きると、まだ寝てるYを起こさずにそっと帰った。
なんだかもう会えない気がして、最後にじっと見つめていたのを覚えてる。
それで、家に帰ると、今までの2年間のことを思い返してみた。
自分はYにとってどんな存在だったのかなーとふと考えてみると、
もしかしたら俺はYの手のひらの中で操られていたのかもしれないなという思いと
もしかしたらYは俺のことだけを信頼していたのかなあという二つの思いがよぎった。
でも、当時バカだった俺は、難しいことなんて考えられるほどの頭じゃなかったから
結局何も結論を出さずに、日曜日が終わるまで遊びほうけていた。
338: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:19:47.02 ID:ZHgpX36/0
3年生が終わると、高校に上がる生徒の名簿みたいなやつのなかに
本当にYの名前が無かった。
何度も話されていたから、分かってはいたけど、どこか期待しているところがあって
すごく悲しい気持ちになった。
自分はさすがに高校に行きたかったし、連絡先も知ってるから
いつでも会えるだろうと思いながら、Yのことは心の片隅においておいた。
339: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:20:43.17 ID:Gch+6ab70
待っていたよ
340: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:22:19.44 ID:CszgB4+9O
キター
341: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:23:03.95 ID:gfNS1PX8O
続ききたぁ
342: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:23:17.05 ID:ZHgpX36/0
高校に入ると、最初の1年間はあまりに忙しくて
Yのことなんか思い出す暇も無かった。
けど、2年生になって部屋の整理をした時に、Yがくれた
64のコントローラーを見つけた。
そういえば、あいつ5個持ってたからひとつくれたんだな・・とふと
幼い時のYの顔が浮かんだ。心が熱くなった気がした。
今、Yどうしてるんだろうと思い、電話をしてみる事に。
幸運にも、教えてくれた連絡先の電話番号が繋がった。
「Yか?」と聞くと
「うん、1君は声変わりしたんだね」と、幼い時のままの声だった。
「まあな、最近どうしてるんだよ」と聞くと
「会って話したほうがいいと思うんだ」とY。
そして、今度の土曜ならということで、俺たちはまたしても2年ぶりに会うことになった。
343: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:25:34.32 ID:qWu8/hBLO
キタ━━━(゚∀゚)━━━!!!!
344: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:25:43.02 ID:ZHgpX36/0
教えられた場所は、繁華街というか、大人の街といった感じで
キャバクラ・風俗・BARといった店ばかりだった。
こんなところにYはいるだろうかと思いながら、約束の場所で待っていると
長身の男が近づいてきた。
黒地に、細い灰色のラインが縦にすっすっと入っているオシャレなスーツを着こなしていて、
赤いネクタイと、品のいい腕時計をつけている男だった。
紛れもなく、Yだった。
346: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:26:36.69 ID:wZdNZCzLO
どきどき
続きます
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