俺が出会った不思議な男の話をしよう
俺が出会った不思議な男の話をしよう (3 / 4)
348: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:28:13.51 ID:ZHgpX36/0
「久々だね」
話しかけられると、声も顔立ちもYだったので
まるで着せ替え人形かゲームのアバターをそっくり服だけ変えたような気分だった。
「お前、かっこいいな」と俺が言うと
「ありがとう」と素直なY。
その後、Yの案内で洒落たバーで話すことになった。
俺は当時高校生だったから、お酒は出なかったけど
Yはマスターと仲がいいらしく、俺の知らないいろいろなものを飲んでいた。
たった2年で、Yという人間がここまで遠くに行ってしまうのかと思うと
なんだか切なくなるとともに、どこかあこがれのような気持ちも芽生えていた。
354: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:47:04.31 ID:9JnJG95ZO
ワクテッカ
355: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 10:51:55.07 ID:nZn/Tx99O
この淡々とした感じがたまらんね
358: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 11:08:58.65 ID:2IotCnKkO
今北
おもしろいよ
557: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:23:59.46 ID:ZHgpX36/0
マスターと話している内容からして、どうやらYはここに住んでいて
付近で働いているということだった。
「こんなところにいて、親には何も言われないのか?」と俺が訊いた。
「・・・」と黙るY。
マスターが、目で何か言いたげだった。
もしかすると、触れちゃいけない話題だったのかもしれないと思い、
俺は静かに席を立とうとした。
562: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:29:05.86 ID:ZHgpX36/0
「待って、」とYが発した。
俺は、ゆっくり席に着く。
「ごめんね、ずっと何も言わなくて・・」とYが話し出した。
話の内容は、大雑把に説明すると
Yはもともとお父さんと暮らしていたらしく、その父さんの会社というのも
中小企業にしては、とても景気が良くて、贅沢もさせてもらえていたらしい。
それで、そのままあの私立に入ったけど、入って早々に父が病気になったということだった。
「その父さんっていうのは、今どうしてるんだ?」と訊くと
「もう、亡くなったよ。3、4年前ぐらいかな・・」
俺とYの間の空気が、静かに淀んでいく気がした。
564: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:30:36.48 ID:8NnFuca4O
やっぱ親死んでたのか
566: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:32:58.97 ID:Firpb/7u0
これはwktkと言わざるをえない
567: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:33:05.28 ID:ZHgpX36/0
「だからあんな内職をしてたのか?」
「いや、あの時佐々木さんが亡くなっただろ。
それで、もともとあれは佐々木さんの奥さんがやってたんだけど
旦那が亡くなって、息子さんが店を継がなきゃいけなくなって
すごく忙しそうだったから、僕が引き受けたんだ。」
「じゃあお前は1円も・・・?」
「いや、多少のお小遣いはもらえたさ、そりゃあ。
でも、僕はお世話になった佐々木さんに何かできないかなって思って・・」
Yの表情が重くなり始めた。
568: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:36:37.14 ID:t/3s7nX00
Yがいい子すぐる;-;
569: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:38:07.74 ID:ZHgpX36/0
「本当はもっと、早く話そうと思ってたんだ。」
「いや、俺は気にして無いよ。無理に聞いてもあれだしさ」
「ありがとう、1君みたいな人でよかった」
「お前も相変わらずだな」
その日は結局、泊まったらと誘われたが、流石にマスターのところに居座る訳にもいかず
俺はそのまま帰った。その間、何度もYの言っていた言葉が反芻されていた気がする。
571: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:40:03.98 ID:EeHD31q6O
wktk
572: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:42:06.38 ID:ZHgpX36/0
俺は、Yから教えてもらった個人用の電話番号に毎日のように電話をして
Yと連絡を取り合うようにした。
「迷惑か?」と聞くたびに、Yは「1君とマスター以外に知ってる人もいないから
すごく嬉しいよ。いつでもかけてね」とやさしく返答してくれるY。
実際、俺のほうと言えば、学校ではそれなりに充実していて
何も考えていなくても大学にも行けて、それなりに遊びながらも
普通より少しいいぐらいの会社には入れるんだろーなぁと考えていた。
でも、そんな自分とYを重ねると、とても心が痛くなって
恥ずかしく、情けなくなった。
573: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:43:35.02 ID:wo8rRWAR0
わくてか
576: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:45:05.08 ID:rhmrcrskO
同情されるのが一番辛いからなぁ
そりゃ話せんわな
577: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:47:49.67 ID:ZHgpX36/0
するとある日、滅多にあっちから電話をしてこないYから着信がきた。
「珍しいな、そっちから電話するなんて」
「落ち着いて聞いてほしい話なんだけど・・」
Yのしゃべり方が、いつにもまして深刻そうだったので
俺は寝転がっていた状態から立ち上がると、心を構えるっていう表現はおかしいけど
据え置いた状態にして言った。
「誰か・・・死んだのか?」
「いや、それほどひどくはないんだけど・・」
「じゃあ、どうしたんだ」
「僕、逮捕されちゃったよ・・・」
578: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:48:12.57 ID:H6IAkH/50
・・・え?
579: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:48:22.80 ID:DDns7OOj0
うわぁああああぁぁああああ
580: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:48:52.06 ID:25KQV9F80
・・・なん・・・だと
581: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:49:22.51 ID:t/3s7nX00
なんという展開
582: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:49:30.76 ID:Us6zxpOyO
ふゃぁ!!!逮捕?
583: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:50:07.03 ID:HjCwsiDSO
嘘つくなよ…Yはそんな子じゃ…
589: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:54:05.43 ID:nZn/Tx99O
まさかの展開に・・・
591: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:54:18.69 ID:ZHgpX36/0
「お・・おい、どういうことだよ」俺は動揺していた。
「その・・麻薬がさ」
「お前、薬なんてきめてたのか?」
「違うんだ、見つかったんだよ」
「持ってるだけでもいかんだろう」
「そうじゃなくて、お店から、見つかったんだ」
「あ・・・」俺は言葉が出なくなった。
「マスターがカウンターの下に隠してたのを、誰かが話したらしいんだ。
どういう経緯かは分からないけど・・」
「お前は、そこにあるって知ってたのか?」震えてうまく声に出せない俺。
「朝知ったよ。いきなり警察の人が入ってきて調べたら・・」
俺は、その場に崩れた。
592: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:55:18.41 ID:25KQV9F80
しえん
594: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:56:18.40 ID:d4jdd32sO
知らなかったならいいんじゃないの?
wktk
598: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:57:12.00 ID:ZHgpX36/0
そして、なんとか話を聞くと
Yは見つかった後に、一緒に住んでいたということで
取調べを受けて、ようやくそれが終わって俺に連絡してきたとのこと。
今はまだマスターが戻ってくるのを待っているが、かれこれ7時間は出てきていないらしい。
多分、自分も隠蔽していたと疑いをかけられているから、刑事告訴されるだろうと淡々と言っていた。
俺にとって警察なんて、中三の時に夜遅くまでゲーセンにいた時に
補導されて怒られたぐらいの接点しか無かったから、Yがこれからどうなるかなんて
さっぱり分からなく、それが不安でしょうがなかった。
600: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:58:10.07 ID:Us6zxpOyO
所持を知らなかったなら
安心だね…
601: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 20:58:24.31 ID:zDjd5M//0
Yってほんとついてないな…
604: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:02:42.17 ID:nXcRULdN0
wktk
606: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:03:52.60 ID:ZHgpX36/0
それからは、何で立派な人間がゴミクズのせいで
こんな仕打ちを受けなきゃいけないんだ・・・という怒りからか
あまり学校での出来事が頭に入らなくなっていた。
ただ、Yから二度目の電話があった時に、俺は飛び上がりように出た。
「どうなったんだ、」
「執行猶予つきで・・」そこでYが言いとめた。
俺は何か聞こうとしたが、受話器の向こうで、泣くのをこらえて
ぐずっという音が聞こえると、しばらく俺は黙った。
「ごめん・・もう会えないかもしれないね」
「お前は知らなかったんだろ。なのになんでなんだよ・・」
「なんでなんだろうね・・・」
やりきれない思いだった。
608: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:05:06.08 ID:nXcRULdN0
なんでなんだろうね・・・
セツナイ
611: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:06:08.23 ID:XI2b02F50
映画化できるぜこの話。
614: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:07:39.17 ID:W64o8GJ30
これは辛い・・・
623: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:11:55.67 ID:ZHgpX36/0
学校に通っていれば、まだ高校生でもあるということで、
少しは酌量を得られたようだったが、それにしても
無実はなはずのYが何年の牢獄に入れられるなんて・・と考えると
もうどうしようもない悔しさに、身が張り裂けそうだった。
しかし、その執行猶予の間に、どうにか会いたいと思い
会う約束を取り付けることにした。
625: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:12:35.57 ID:nZn/Tx99O
世の中そんなもんだな。
だからってやりきれるもんでもないが・・・
632: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:15:01.67 ID:NM2LGv1WO
執行猶予ついてるなら
おとなしくしとけば入んなくて済むんじゃないの?
650: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:22:32.66 ID:Et1DicMN0
やっと追いついた
おもすれー
660: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:27:37.51 ID:ZHgpX36/0
もう一度Yと会ったときは、完全に疲れきっているという感じで
俺も、どう接したらいいのかがよく分からなかった。
ただ、本人はあまり自分の話題について触れてないようなそぶりを見せていたので
実際に会ってる時はその話はしないようにと心がけていた。
でも正直なところ、Yの現状はYの口からしか聞いていないし
それが本当のことかどうかは、判別する方法は無かった。
でも、Yの言ってることは本当だと信じるしか、その時に俺にはできなかった
686: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:37:22.80 ID:ZHgpX36/0
その当時の俺は、執行猶予が終わったら自動的に牢屋に入れられるものだと
思っていたが、正しい意味を知るのはかなり後の方。
だから、その時は何とかしてお互い親密にやっていこうということで精一杯だった。
Yは正しい意味を知っていたから、あまり焦っている様子は無かったのがいまだと説明がつくよ。
699: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:40:37.52 ID:ZHgpX36/0
喫茶店に入った時に、俺はすごくかする程度ではあるけど
Fを利用していた時のYを思い出した。
そして、絶対に考えてはいけない暗黒のような思いが浮かんだが、
すぐにそれを引っ込めた。
絶対に聞けるはずが無かった。「本当はお前が麻薬を持っていて、マスターを利用したのか?」
だなんて。
702: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2008/03/23(日) 21:41:24.52 ID:ofWvPHUJ0
>>699
うわああああああああああああ
続きます
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