IT’S YOU
その時、彼女は海の方を向いたまま僕に言った。
「あなたのことがわからなくなったの・・・・」
突然の別れ。
波の音と彼女のか細い声がMIXされ、まるでJAZZのピアノのように美しく、今にも壊れそうに聴こえた。
「もう行かなくちゃ・・」
彼女との思い出の海。強い風が僕を襲う。もうまるで僕の声は波と風に打ち消され聞こえないだろう。
・・・あれから3年。またこの思い出の海に来てしまった。
今でも思い出す、彼女と、波と風が奏でる音楽に似た音。 あの時と同じく、風も波も僕を飲み込むかのように激しい。
真っ白い入道雲が夏の季節の到来を知らせてくれる。
ちょっと泣いてみようと思った。ちょっとした恋愛映画の主人公みたいな気分だった。悲しかったけど、不思議と涙は出なかった。
来てよかった、と僕は思った。夏の海は僕を暖かく迎えてくれた。新しい一歩を踏み出す為、持っていたウォークマンのヴォリュームを一杯に上げた。
joyce coolingの「it’s you」
美しく、前向きなこの曲。いい音楽はこんなにも僕を前向きにさせてくれる。僕はこの曲を新しいヒトと出会ってもずっと聴きつづけるだろうと胸に秘め、海を背にした。
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再掲載です。クサい小説を書いたコトもありました。あんまり本気で読まないでくださいね。
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