東京ポッド許可局の神回「クルーザー論」

2013年に東京ポッド許可局で放送された、「クルーザー論」
が呑んだ席の話として面白いため、時々利用させてもらっています。人によって見解が違うことが多く、大変議論が盛り上がります。
クルーザー論
※これは心理テストの類ではありません。正解もありません。
下にある「クルーザー」という物語を読んでください。この話には、5人の登場人物が出てきます。
読んだ後に、この5人の登場人物について、共感できる順に順位をつけてください。
突然の嵐に見舞われたクルーザー(大型ヨット)が2艇、無人島の流れ着きました。
1艇には若くてきれいな女性とフィアンセの男性、もう1艇にはヨットマンと老人が乗っていました。
日が暮れて嵐は少しおさまってきましたが、フィアンセの男性が高熱にうなされ、意識不明になってしまいました。
若い女性は、一生懸命看病しましたが、容態は一向によくなりません。 夜はどんどん深まっていきます。
彼を助けるためには、医者のいる島まで連れて行くしかありません。 しかし女性はクルーザーの操縦ができませんでした。そこで彼女はヨットマンに助けを求めにいきました。するとヨットマンは
「この島から医者のいる島までは2時間はかかる。それに夜の航海はとても危険で、命がけだ」
としばらく考えていましたが、
「そうですねえ。あなたを今、抱かせてくれたらクルーザーを出しましょう」
と言ってきました。
思いもよらない言葉に困った女性は、老人にどうしたらいいか相談しました。老人は
「今のあなたにとって何が良いのか何が悪いのか、私には答えられません。自分の心に聞いて自分で決めるのがいいでしょう」
と返事をしました。 彼女は悩み苦しみましたが、彼を助けるためにヨットマンの言う通りにしました。 夜明けにヨットマンの操縦するクルーザーは無事医者のいる島に着きました。
3日3晩、男性は生死を彷徨いましたが、医者の懸命な看護により、やっと目を覚ましました。若い女性はようやくほっとして彼を抱きしめました。彼女は真実を話すかどうかとても迷いましたが、悩んだ末に正直に全てを打ち明けました。しかしそれを聞いたフィアンセは怒り狂い、
「何てことするんだ!お前の顔なんかもう見たくない。出て行け!」
と彼女を部屋から追い出しました。
悲しみにくれた女性は、浜辺に座って波を見つめていました。そこに医者がやって来て彼女に声をかけました。 彼女が事情を話すと、
「僕には君の気持ちがよくわかるよ。私が彼と話してみようじゃないか。 彼も病気が治ればきっと理解してくれるはずだよ。それまでしばらくの間、私があなたの世話をしてあげよう。」
と言いながら、彼女の肩に手をかけました。
音声ファイルはこちらです
クルーザー論:元ネタ
これは星野欣生著の「人間関係づくりトレーニング」の中に入っているエピソードで、
サンキュータツオさんは自身の授業の中で外国人留学生のグループディスカッションでこの「クルーザー論」をとりあげるそうです。毎回喧々諤々となるそうで、国籍が違うと価値観も全然違って面白いんでしょうねえ。
僕の感想としては、好感度の高い順に、
ヨットマン
医者
女性
おじいさん
フィアンセ
改めて聴いてみると、なんというかエロい話にしか見えなくなってしまいましたが、欲望に忠実なヨットマンがもっともストレートで好感度高いという評価です。
以前一番低かった女性は、打ち明けなければよかったのに、海を見つめ構ってアピールしなければいいのに、とは思うけれど、身をもってフィアンセを守ったという点で評価しなくていけないのかと思います。
やっぱり、女性の行動は自分を思っての判断だったのに、怒り狂ってしまったフィアンセが一番ダメだということで。
医者も当時は嫌いだったんですが、今となってはヨットマンと同時一位でもいいくらいですかね。ゲスなところがとてもいいです。
クルーザー論の話をするたびに、上流階級の女性と使用人の男性が島に漂流するイタリア映画「流されて」を思い出す僕です。
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