/* THKアクセス解析 */
管理人ayu

福岡在住。日々の暮らしがちょっと豊かになるような、映画・音楽・ラジオなど、様々なカルチャーを紹介する2000年頃から続いているwebメディアです。
SNSでも毎日、情報を発信していますので、ぜひ覗いてみてください。
これからもどうぞよろしくお願いします。

詳細な自己紹介 → このサイトについて
はじめての方にオススメ → 今月の人気記事一覧

twitter  instagram

『ルノワール』映画―1980年代日本を舞台に少女の成長を描くカンヌコンペ選出作!あらすじ・キャスト・配信も徹底解説

映画・ドラマ宇多丸

映画『ルノワール』は、1980年代の日本を背景に、感受性豊かな11歳の少女が大人たちや家族のもつれに触れて成長していくひと夏を丁寧に描いたヒューマンドラマ。

カンヌ国際映画祭選出の注目作として、あらすじ・キャスト・見どころ・制作背景・感想・評価・配信情報まで徹底して紹介します。

ルノワール:ネタバレなし感想

一体どうやって探してきたのかと疑う、どうみても80年代にしか見えない美術と、美しすぎる淡い色合いの撮影がたまりません。

↑ポスターアートにもなっているこの画像が素晴らしい。

その風景を見つめる小5のフキちゃんの、大人たちへ向ける視線を通して、子どもには子どもの、大人には大人の、やんごとなき事情が実にリアルに浮き彫りになり、時には苦しく時にはうっとりと、観る者を魅了します。とにかく、宛て書きかと思うほどフキちゃん本人にしか見えない鈴木唯さんの素晴らしい演技も目を見張ります。

監督自ら「余白を楽しむ作品に仕上がっている」と仰っているとおり、徹底的に「見せない」ことで安易に感情移入できない作りがとても効果的で、ホントはどうだったのか、そこで何が起こったのか、を観客は想像で補うしかなく、物語は本当にゆっくり進んでいるにもかかわらず、悲しいことが起こっていても泣く暇もありませんw

ゴミ捨て場のエロ本、伝言ダイヤル、好みの部分だけ編集されたVHS、念力で当てるトランプ遊び、キャンプファイヤー(ライディーンを踊っていた学校もあったのか?w)など、忘れかけていた80年代の記憶が蘇ります。
別府の老舗映画館、ブルーバード劇場で観たのもノスタルジックな気分を増長するのに手伝っていたと思います。

リリー・フランキー演じるお父さんと一緒に、病院を抜け出して競馬に行くシーンがたまりませんでした。

他にも詩子と御前崎の喫煙所でのシーン、ショートケーキを取り上げられてしまうシーン、河合優実さんの独白シーンなど、枚挙にいとまがありません。

監督自身、
「どういう作品なのかは、観客に委ね、余白を楽しむ作品」
「ルノワールというタイトルにもそれほど意味はない」
「これは、他人に思いやりを持てなかった少女が、痛みを知ることで一歩だけ大人に近づく話かもしれない」

と仰っている事を踏まえると、鑑賞後よりも、考えているうちに考えが深まり評価が上がった気がします。折りに触れ観る作品になりそうです。

ルノワール:作品詳細

原題:ルノワール 製作年:2025年 公開日:2025年6月20日 製作国:日本・フランス・シンガポール・フィリピン・インドネシア合作 
上映時間:121分 ジャンル:ヒューマンドラマ 配給:ハピネットファントム・スタジオ

ルノワール:予告

ルノワール:キャスト・スタッフ

キャスト
  • 鈴木唯(沖田フキ)
  • 石田ひかり(沖田詩子)
  • 中島歩(御前崎透)
  • 河合優実(北久里子)
  • 坂東龍汰(松島和輝)
  • リリー・フランキー(沖田康史)
スタッフ
  • 監督・脚本:早川千絵
  • 撮影:浦田秀穂
  • 音楽:レミ・ブーバル
  • 美術:三ツ松けいこ
  • 編集:アンヌ・クロッツ

ルノワール:解説

本作は『PLAN 75』で鮮烈に長編デビューし高い評価を得た早川千絵監督が手がけた2作目。日本を中心にアジア諸国との共同制作で実現し、カンヌ映画祭のコンペティション部門にも正式出品された話題作です。物語の発端は早川監督本人が幼少期に触れたルノワールの名画「イレーヌ・カーン・ダンヴェール嬢」。彼女の記憶や感情を軸に、大人の世界へ揺れる少女の目を繊細に映し出します。

抜擢された鈴木唯(沖田フキ)はオーディションで監督を圧倒、実力派の石田ひかりや河合優実、リリー・フランキーら説得力あるキャストが脇を固め、大人が抱える痛みや家族の崩壊、その中でたゆたう子どもの成長を瑞々しく描写。編集や音楽は海外の一流スタッフを迎え深い余韻と余白を持たせ、早川監督が理想とする“余白を楽しむ映画”としても注目されています。

“誰もが体験する子供から大人へ”という普遍を、日本の歴史や当時の空気感と共に活写する一作です。

ルノワール:あらすじ

1980年代バブル経済期の郊外の町。11歳のフキは見たこと感じたことを想像で膨らませる豊かな感性を持つ女の子。両親とともに暮らし、自由奔放な夏を楽しんでいた。

しかし、闘病する父と仕事に追われる母はすれ違い、フキは家族の微妙なバランスの変化や、大人たちが抱える“痛み”を垣間見るように…。父の死期を予感しながらも、どこか現実離れした遊びや空想が交錯する毎日。やがてフキは様々な大人と出会い、ふれあいを重ねるなかで、子供の領域からはみ出し“成長”のきっかけにぶつかっていく——。

決して劇的ではない日常のズレや哀しみ、複雑さのなかで、ひと夏の“光と影”を描き出した切なさと温かさに溢れる人間ドラマです。

ルノワール:関連サイト

アトロクでの宇多丸さんの映画評が素晴らしかったです。

映画評のあとの、放課後での深堀りトークも最高でした。ネタバレ全開なので、鑑賞後に是非。

  • 「ルノワール」早川千絵監督&石田ひかりが思いを馳せる、「少女が大人になる瞬間」【インタビュー】 :映画.com:https://eiga.com/news/20250617/10/
  • カンヌ注目作『ルノワール』 早川千絵監督が語る子どもとの協働【インタビュー】 – THR Japan https://hollywoodreporter.jp/movies/111771/
  • 「オーディションの最初に来た少女に決めた理由」「死はふっと静かに訪れる」「相米慎二作品から受けた影響」長編2作目でカンヌコンペ入りを果たした早川千絵監督が語ったこと《映画『ルノワール』公開直前インタビュー》 | 文春オンライン:https://bunshun.jp/articles/-/79809
  • 『ルノワール』は何を描いたのか? “印象派”とリンクする、子どもの不完全な”リアリティ|Real Sound:https://realsound.jp/movie/2025/06/post-2071888.html
  • 【解説】映画『ルノワール』世界が注目する早川千絵、全編を貫くブレない美学と倫理|CINEMORE:https://cinemore.jp/jp/erudition/4047/article_4048_p1.html
  • 『ルノワール』早川千絵監督 解釈は観た人に委ねたい【Director’s Interview Vol.496】|CINEMORE:https://cinemore.jp/jp/news-feature/4046/article_p1.html
  • 『RENOIR』、またはいまひとたびの黒(Re: Noir)――少女は夏の夜に競走馬の夢を見るか? 映画『ルノワール』考察レビュー | 映画チャンネル:https://eigachannel.jp/j-movie/149037/
  • 「鈴木唯は”演じている”を超えていた」映画『ルノワール』早川千絵監督が語る映画制作の原点とは? 単独インタビュー | 映画チャンネル:https://eigachannel.jp/j-movie/142001/
  • 映画『ルノワール』鈴木唯×石田ひかり×リリー・フランキー、スペシャル鼎談。カンヌの地で語った「特別な作品」への思いとは? | 映画チャンネル:https://eigachannel.jp/j-movie/141959/

ルノワール:配信

配信はまだありません

早川千絵監督関連

PLAN75も傑作です。ルノワールよりも社会派なヒューマンドラマです。

ルノワール:SNSでの主なユーザーレビュー

「80年代日本の空気感が丁寧に再現され、子どものまなざしと大人たちの哀しみが交錯する。一見何も起きないようで、目に見えない揺らぎや痛みの描写が心にしみた。鈴木唯の演技が繊細で素晴らしい。」

「フキが大人に向かう過程で体験する戸惑い、親の病や不安、周囲の大人の未熟さも包み隠さず描いていてリアル。家族ドラマだが押しつけがましくなく、余韻がいつまでも残る。」

「早川監督の『余白を楽しむ』という意図が、見事に全編に溢れていた。特に父役リリー・フランキーの存在感は圧巻。夏の記憶と共鳴し、観終えて少し泣けてきた。」

「少女と大人の距離感、社会や家庭の“ズレ”が不思議と温かく描写されている。演出・美術ともに細部までこだわりが感じられる。観る人ごとに捉え方が違いそうで濃密な作品。」

「子供時代の不安定さ、家族のきしみ、でも最終的には光が差すような余韻。ルノワールの絵画的な美しさとも重なり、唯一無二の映画体験だった。」

「少女フキの視点で進む物語。日常の温度感や家庭の空気が本当にリアル。大人の事情や子どもに伝わる違和感を、世界の終わりのような透明感で描写。主演の鈴木唯が等身大の“少女性”を体現、観ていて自分の子ども時代が重なった。」

「劇的な転回があるわけではなく、細やかな日々の出来事や空気感が積み重なる。父の死や家族の関係性がほんの少しずつ変化し、そこに込められた感情が静かに染み入る。こういう作品が日本映画からもっと増えてほしい。」

「80年代の街の空気感、学校や近所の人々の描き方が本当にノスタルジック。少女が大人の世界に踏み込んだ瞬間の戸惑いと、戻れない子ども時代の手触りをしっかり描いていて胸が詰まった。音楽・美術も素晴らしい。」

「原題や構成の静けさから映画館で観るべきタイプの映画。誰にでも通じる“家族”の不安や、でもやっぱり温かい気持ちを持てる名作。キャスト陣の自然な演技にも唸らされた。」

「父の闘病、母の仕事、少女の成長と寂しさ。現実の厳しさと、少女が見る夢や妄想が自然につながっている。映像がとにかく美しく、心の内側まで届く映画だと思う。」

おまけ:別府ブルーバード劇場

とっても良い劇場でした。また映画を観に別府に行きたい。

映画・ドラマ宇多丸

Posted by ayu