【ドラマ】すべて忘れてしまうから:スーパー16mmフィルム撮影の美しい映像をずっと観ていたくなる傑作
2023/10/17追記:
Disney+独占作品ですが、1年ほどの期間を経て、地上波放送がスタートしてます。今が観るチャンス!
最近この手のタイトル多いなあ!と期待もせず観始めたら、名作「結婚できない男」からドタバタだけを抜いたような(つまりずっと観ていたいやつ)穏やかでオシャレなヒューマンドラマでめちゃくちゃ面白かったです。
あらすじやネタバレなし感想を書いています。
すべて忘れてしまうから:あらすじ
彼女はなぜ、消えたのか――。
ハロウィンの夜に、5年間付き合った彼女が消えた。
ミステリー作家の “M”は、突然失踪した彼女“F”を探すことに。
しかし、人々が語るFは、彼の知らない顔を持っており、やがて驚きの秘密が明らかになっていく…。
あなたは、大切な人のことを全て知っていますか?どんなに近しい人にも、知らない顔がある。
この秋、消えた彼女をめぐるミステリアスな物語があなたの心を惑わす――。
すべて忘れてしまうから:解説
今最も話題の作家の1人である燃え殻のエッセイを、国内トップクリエイターがドラマ化!
ふとすれば忘れてしまうような日々の記憶を書き留めた燃え殻のエッセイ『すべて忘れてしまうから』を基に、監督・脚本を務める岨手由貴子、沖田修一、大江崇允が、“消えた彼女”を巡るミステリアスなラブストーリーとして新たな物語を紡ぎだす。
阿部寛を始め、豪華キャストが共演!
久々のラブストーリー作品への出演となる阿部寛が、大した賞も大ヒット作もないまま小説を描き続けているという地味で主体性がないミステリー作家“M”を演じる他、26年ぶりの演技となるCharaや阿部寛と15年ぶりの共演となる宮藤官九郎の出演も決定!
大人の心に染みわたる、“消えた彼女”を巡るビタースイートなラブストーリー
ハロウィンの夜に彼女が消えるというミステリアスな展開から始まる物語は、やがて私たちは大切な人のことをどこまで知っているのだろうと、私たち自身の毎日を振り返らせる…大人であれば誰しもがどこかで共感できる、ほろ苦いラブストーリーが始まる。
すべて忘れてしまうから:予告編
すべて忘れてしまうから:キャスト・スタッフ
- M:阿部寛
- F:尾野真千子
- カオル:CHARA
- フクオ:宮藤官九郎
- 酒井美紀
- 大島優子
- 渡辺大知
- 青木柚
- 鳴海唯
- 見栄晴
- 渡辺いっけい
- 監督・脚本:岨手由貴子、沖田修一、大江崇允
- 撮影:四宮秀俊
- プロデューサー:山本晃久、涌田秀幸
- 音楽:TENDRE
- 原作:燃え殻
主な脚本を手掛けた岨手由貴子さんのロングインタビューが素晴らしかったです。
すべて忘れてしまうから:ネタバレなし感想
公式のあらすじにある「大人のラブストーリー」とはいい意味で少し違う印象の、日常にありそうなBarでの会話の中にほんの少し入り込むミステリー。この「ミステリー」部分が、脚本を執筆した岨手由貴子さんによるアレンジで、興味を持続させるための仕掛となっていて、これが良い塩梅なのです。阿部寛さんは当て書きなんだそうで、納得です。
監督脚本の座組だけ見ただけでもわかる、豪華過ぎる制作陣による脚本が素晴らしいです。
- 沖田修一:南極料理人、横道世之介、さかなのこ
- 岨手由貴子:あのこは貴族
- 大江崇允:ドライブ・マイ・カー、ガンニバル
と素晴らしい作品を作り出した3人の融合が見事に良い結果を生み出しています。
エッセイから着想を得て脚本を起こしたそうなのですが、一体どうやったのか、原作を読んでみたくなります。
なんといっても劇中登場人物たちがワイワイやってる「Bar灯台」に行きたくなります。クセがある常連がカウンターにずらりと並ぶBarは良いお店ですね。お互い名前も知らない同士だが毎日のように会って、酒を呑みながらそれぞれが支離滅裂に自分の話をするような、Barの常連の空気がとても良く表現されてて、それだけで最高でした。いくらでもスピンオフが作れそうな、余白たっぷりの人物描写がたまりません。
良いセリフ多数。
「人生は飲み放題みたいなものなんだから」
「誰かの為になるのなら、その嘘には値打ちがある」
「ずいぶん遠くに来た気がする」
ああ、こんな小説読んだことあるなあ、というような本の中に入り込んだ雰囲気が完璧に表現されていて、ぼんやりした古い記憶の中にあるような淡い色合いで、不思議なものを観せられている気分になる演出が素晴らしいです。
この作品の撮影は「ドライブ・マイ・カー」「人形の町」「佐々木インマイマイン」(どれも傑作!)
【ドライブ・マイ・カー】
【人数の町】
【佐々木、イン、マイマイン】
の四宮秀俊さんが手掛けていて、今回ドラマとしては異例のスーパー16mmフィルムを使った撮影を行っているのですが、その効果が存分に発揮されているのだと思います。
「ずっと観ていたい」と思わせたらこの手のドラマは勝ちですね。
もちろん、コメディを演じる阿部寛さんは「結婚できない男」と同じベクトルの魅力いっぱいのキャラクターですし、chara、宮藤官九郎さん、鳴海唯さんを始めとしたBarシーンに登場する方々の「ああ、こんな人Barにいそう」的なリアリティも素晴らしいです。
すべて忘れてしまうから:エンディング曲がすごい
Tendreの劇伴もかなりの気合の入り方で、毎話変わるエンディング曲も豪華キャストです。特に#9の奇妙礼太郎は演出も相まって大変素晴らしかったです。
あと、TENDREの「MOON」泣けます。
奇妙礼太郎「竜の落とし子」
Chara「Junior Sweet(JEWEL ver.)」
TENDRE「DRAMA」
七尾旅人「ドンセイグッバイ」
No Buses「I’m With You」
paionia「わすれもの」
ヒグチアイ「しみ」
三浦透子「おちつけ」
ミツメ「メビウス」
ROTH BART BARON「糸の惑星」
すべて忘れてしまうから:配信
すべて忘れてしまうからはDisney+とTverで配信中です。
燃え殻原作のエッセイ「すべて忘れてしまうから」
名作エッセイだと話題になっていたので、この機会に購入しました。これから少しずつ読んでみようと思います。
燃え殻原作「ボクたちはみんな大人になれなかった」も素晴らしい
燃え殻さん原作作品といえば、森山未來・伊藤沙莉主演のNetflixオリジナル「ボクたちはみんな大人になれなかった」も最高でした。
美術もセットも衣装も、圧倒的なクオリティで当時の空気感が再現されていて本当に驚愕します。コロナ禍だから撮れたのではないかと思える渋谷のシーンも良かった。
この素晴らしい作品は世界に知れ渡ってほしいけれど、日本人の、しかもあの時代を生きていた人にしか届かないであろうリアルと生々しさと愛おしさでいっぱいでした。こちらも是非。
Netflixで配信中です。
阿部寛主演、結婚できない男は名作
阿部寛さんと相手役の夏川結衣さん、吉田羊さんとのやりとり含め、出演者全員がとても魅力的な作品でした。10年後、「まだまだ結婚できない男」で復活して欲しいですね。U-NEXT他、各サブスクで観られます。
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