ノア・バームバック監督『ジェイ・ケリー』孤独な映画スターとマネージャーの欧州ロードムービー

映画界のトップスター、ジェイ・ケリーは、恩師の死や過去の因縁に直面し、自身のキャリアと人生に虚しさを感じ始める。彼は撮影中の新作を放り出し、疎遠になった娘を追いかけてマネージャーのロンと共にヨーロッパへ旅立つ。華やかな名声の裏にある孤独と後悔、そして「演じること」と「生きること」の境界線を見つめ直す、ノア・バームバック監督による大人のロードムービー。
ジェイ・ケリー:ネタバレなし感想
ノア・バームバック監督の新作!
ジョージ・クルーニーの渋すぎる演技と、珍しくアクの強くないアダム・サンドラーの演技が存分に堪能できるヒューマンドラマ。
名優であるジェイの役がどうしてもジョージ・クルーニー本人と重ねて観てしまいます。
イタリアを旅する列車内のシーンで市井の人と触れ合うイケメン過ぎるジョージクルーニーの立ち振る舞いと、マネージャーとしてスターを支えたアダム・サンドラーの切実な叫び。
俳優という人生、それを支える人たちや家族の人生、それぞれの思いが溢れ、度々過去を振り返るシーンに大変グッときました。
ジェイ・ケリー:作品詳細
原題:Jay Kelly 製作年:2025年 日本公開日:12月5日(Netflix配信) 製作国:アメリカ
上映時間:約130分 ジャンル:コメディドラマ/ロードムービー 配給:Netflix
ジェイ・ケリー:予告
ジェイ・ケリー:キャスト・スタッフ
- ジョージ・クルーニー(ジェイ・ケリー/往年の映画スター)
- アダム・サンドラー(ロン・スーケニック/ジェイの献身的なマネージャー)
- ローラ・ダーン(ジェイの元妻や関係者など、詳細は本編で)
- ビリー・クラダップ(ティモシー・ガリガン/ジェイの演劇学校時代の旧友であり因縁の相手)
- ライリー・キーオ
- グレイス・エドワーズ(デイジー/ジェイの娘)
- グレタ・ガーウィグ
- パトリック・ウィルソン
- ジム・ブロードベント
- 監督・脚本:ノア・バームバック(『マリッジ・ストーリー』『フランシス・ハ』)
- 共同脚本:エミリー・モーティマー
- 製作:ノア・バームバック、デヴィッド・ハイマン ほか
- 撮影:リヌス・サンドグレン(『ラ・ラ・ランド』)
- 音楽:ランディ・ニューマン
ジェイ・ケリー:あらすじ
ハリウッドの伝説的な映画スター、ジェイ・ケリーは、新作映画の撮影を控えていたが、キャリアの恩人であるピーター・シュナイダー監督の訃報を受け、心が揺らぐ。葬儀の後、演劇学校時代の旧友ティモシーと再会し酒を酌み交わすが、かつて自分が彼の役を奪い、成功を独占したという過去の恨みをぶつけられ、乱闘騒ぎとなる。
自身の成功が誰かの犠牲の上に成り立っていたことを突きつけられたジェイは、衝動的に撮影現場を放棄。大学進学を前にヨーロッパ旅行へ出かけた娘デイジーとの距離を縮めるため、そしてトスカーナで受ける予定の生涯功労賞授賞式を口実に、マネージャーのロンを伴ってパリ、イタリアへと旅立つ。
華やかなキャリアとは裏腹に、家族や友人を失い孤独を深めていたジェイ。ロンと共に異国の地を巡りながら、彼は「映画スター」という役割を脱ぎ捨て、一人の人間として人生の再起を図ろうともがく。
ジェイ・ケリー:解説
『マリッジ・ストーリー』のノア・バームバック監督が、ジョージ・クルーニーとアダム・サンドラーという二大スターを迎えて贈るヒューマンドラマ。脚本は女優でもあるエミリー・モーティマーとの共同執筆。
「最後の映画スター」とも称されるジェイ・ケリーを、実際にハリウッドのアイコンであるジョージ・クルーニーが演じることで、役柄と本人の境界が曖昧になるメタ的な構造を持つ。アダム・サンドラーは従来のコメディ路線を抑え、スターに振り回されながらも支え続ける繊細なマネージャー役を好演。
第82回ヴェネツィア国際映画祭コンペティション部門出品作品。映画業界の内幕をシニカルなユーモアで描きつつ、老い、後悔、家族の再生という普遍的なテーマを温かく見つめる作品として高く評価されている。
ジェイ・ケリー:関連サイト
- 公式サイト: https://www.cinemalineup2025.jp/jaykellyfilm/
- 映画.com:https://eiga.com/movie/103357/
- JustWatch:https://www.justwatch.com/jp/%E6%98%A0%E7%94%BB/zieikeri
- IMDb:https://www.imdb.com/title/tt30446847
ジェイ・ケリー:配信
ジェイ・ケリー:SNSでの主なユーザーレビュー
「ジョージ・クルーニーが『落ち目の大スター』を演じるというだけで説得力が凄い。華やかさと哀愁のバランスが絶妙で、彼自身のキャリアと重なって見える瞬間が何度もあった。アダム・サンドラーの抑えた演技も素晴らしく、二人のケミストリーが最高。」
「ノア・バームバック監督らしい、痛々しい会話劇と温かい眼差しの同居。前半のティモシーとの喧嘩シーンは見ていて辛いが、そこから逃げるように旅に出る展開が人間臭くて良い。映画業界への皮肉もたっぷりで笑える。」
「ロードムービーとして景色が美しい。イタリアやフランスの風景の中、スーツ姿で右往左往するおじさん二人の姿がなんとも愛おしい。人生の折り返し地点を過ぎた人には特に刺さる内容だと思う。」
「娘との関係修復というベタなテーマだけど、決して安易なハッピーエンドにならないところがリアル。スターであるがゆえの孤独、普通になれない悲しみが丁寧に描かれている。ラストの余韻も心地よい。」
「Netflix配信だけじゃもったいない映画。劇場のスクリーンで観ると、リヌス・サンドグレンの撮影による映像美が際立つ。コメディだけど静かで、心に残るセリフが多い良作。」

















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