甲子園:フィールド・オブ・ドリームス感想レビュー|水谷哲也&佐々木洋、名将2人の指導と葛藤に迫る

第100回記念大会の夏の甲子園に挑む横浜隼人高校と花巻東高校の1年を追ったドキュメンタリー『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』。高校野球を日本社会の縮図として描き、昭和的スパルタ指導と変わりゆく価値観の狭間で揺れる球児と監督の葛藤に迫る。
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:ネタバレなし感想
権利の関係でなかなか配信に来なかったドキュメンタリーがついにNetflixで。
高校野球の、しかも名門と呼ばれる高校の監督に密着したものって今まであったのでしょうか、日米(NHK)が共同制作ということで、海外から観た日本、というものが全面にフィーチャーされていている作りがとても新鮮。いわゆるクレイジーニッポン的教育方針がわかりやすく切り取られているのは賛否分かれそうです。
身内に高校球児がいるため、とてもフラットな目線で観ることはできませんでしたが、沢山の人に支えられて、選手も監督も必死に戦っている姿が眩しくってたまりませんでした。
WBCみたさにNetflix契約する人がまず観るのにぴったりな作品でした。
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:作品詳細
原題:Koshien: Japan’s Field of Dreams 製作年:2019年 公開日:2020年8月7日(日本公開)
製作国:アメリカ・日本 上映時間:94分 ジャンル:ドキュメンタリー/スポーツ 配給:日活
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:予告
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:キャスト・スタッフ
- 水谷哲也(横浜隼人高校 野球部監督)
- 佐々木洋(花巻東高校 野球部監督)
- 横浜隼人高校 野球部員たち
- 花巻東高校 野球部員たち
- 水谷家の家族・保護者・OB ほか
- 監督:山崎エマ
- エグゼクティブ・プロデューサー:マイケル・レーマン、エリック・ナイヤリ ほか
- プロデューサー:エマ・ライアン・山崎、エリック・ナイヤリ
- 撮影:ショーン・パリッシュ
- 編集:エマ・ライアン・山崎
- 製作:Cineric Creative, NHK, CAA
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:あらすじ
日本中が熱狂する「夏の甲子園」。2018年、その記念すべき第100回大会に向けて、アメリカ在住のドキュメンタリー監督・山崎エマは、神奈川の強豪・横浜隼人高校と、岩手の名門・花巻東高校の1年に密着する。自称「昭和の頑固オヤジ」という横浜隼人の水谷哲也監督は、挨拶や掃除を徹底させ、勝利だけでなく人間形成を重視する指導で知られるベテラン指導者。一方、その教え子であり、後に大谷翔平や菊池雄星らを育てた花巻東の佐々木洋監督は、水谷の教えを受け継ぎながらも、新しい時代の野球と教育を模索している。熾烈なレギュラー争いが繰り広げられる部員129人の大所帯の中で、3年生たちは最後の夏にすべてを懸け、1年生は厳しい練習に耐えながら成長を図る。大会までの練習試合や合宿、家族とのやり取りを通じて、彼らの喜びや葛藤、涙が丁寧に切り取られていく。やがて迎える地方大会本番。勝てば聖地・甲子園、負ければその瞬間に野球人生が終わる者もいる。勝敗のドラマの裏で、指導者と球児たちは「なぜ野球をするのか」「何のための高校野球か」という問いに向き合っていく。
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:解説
『甲子園:フィールド・オブ・ドリームス』は、ニューヨークを拠点に活動する映像作家・山崎エマが監督した長編ドキュメンタリーで、アメリカの制作会社 Cineric Creative と日本のテレビ局・団体が共同製作した国際共同作品である。山崎監督はアメリカ人の父と日本人の母を持ち、国内外の視点を併せ持つことから「日本社会の縮図」として高校野球を捉え、過酷な練習や精神論だけでなく、家族や選手自身の葛藤も丁寧に描写している。主人公的存在となるのが、横浜隼人高校の水谷監督と、教え子で花巻東監督の佐々木洋。昭和的なスパルタ指導の中に選手への愛情を滲ませる水谷と、より現代的な感覚を取り入れながらも、厳しさを失わない佐々木の対照的なスタイルが浮き彫りになる。第100回記念大会という節目の年を選んだことで、甲子園という大会が持つ歴史や、勝者の裏に何千もの敗者がいる現実にも光が当てられる。作品はアメリカやヨーロッパの映画祭で上映され、日本公開前から「野球を通じて日本の教育と精神性を描いた」と高く評価された。2020年夏、コロナ禍で甲子園大会が中止となったタイミングで日本劇場公開されたことも話題となり、「高校野球の熱気を思い出させてくれる一本」として多くの野球ファンの支持を集めた。
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:関連サイト
- 公式サイト:https://koshien-movie.com
- 日活 作品ページ:https://www.nikkatsu.com/movie/33320.html
- 映画.com:https://eiga.com/movie/93603/
- Filmarks:https://filmarks.com/movies/92100
- JustWatch:https://www.justwatch.com/jp/%E6%98%A0%E7%94%BB/jia-zi-yuan-huirudoobudorimusu
- IMDb:https://www.imdb.com/title/tt9125542
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:配信
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野球のドキュメンタリーといえば、2023年WBCのドキュメンタリー「憧れを超えた侍たち 世界一への記録」は素晴らしかったですね。試合中継がPrimeVideo制作だったのでそのせいもあるのでしょうか、とにかくエンタメ度が高くてフィクション作品かのよう。こんなドキュメンタリーもいいですよね。
番外編的な、個人をフィーチャーしたものもPrimeVideoにありました。これも面白そう。
甲子園:フィールド・オブ・ドリームス:SNSでの主なユーザーレビュー
タイトルから全国大会全体を俯瞰する作品かと思っていたが、実際は横浜隼人と花巻東という2つのチームにぐっと寄り添った密着ドキュメンタリーで驚いた。部員129人という大所帯の中で、レギュラーに選ばれる者とそうでない者の差が容赦なく描かれ、勝負の世界の厳しさを感じる。水谷監督の激しい叱責や、体重管理を巡るシーンには正直モヤモヤも残るが、その裏にある「人として育ってほしい」という祈りのようなものも伝わってきて複雑な気持ちになる。甲子園という巨大な夢に人生を賭けることの是非を、自然と考えさせられる一本だった。
いわゆる“感動甲子園もの”を期待していると少し肩透かしかもしれないが、その代わりに得られるのは、生々しい現場の空気だと思う。厳しい練習で疲れ切った表情、監督に叱られて俯く姿、ロッカーでの何気ない会話。どれもテレビ中継では決して映らない部分ばかりで、高校野球の裏側にある人間ドラマがじわじわと立ち上がってくる。終盤、結果が出たあとも淡々と日常が続いていく感じがリアルで、試合は終わっても人生は続くというメッセージを感じた。
水谷監督と佐々木監督の師弟関係がすごく面白い。昭和的な根性論を色濃く残す水谷に対し、佐々木はその教えをベースにしつつも、データや現代的なトレーニングも積極的に取り入れているように見える。どちらが正しいという話ではなく、野球も教育もアップデートされ続けるべきだという示唆があるように感じた。高校野球ファンとしては、花巻東が大谷・菊池を輩出したチームとして有名なだけに、その原点を垣間見られるのも嬉しいポイント。
個人的に刺さったのは、甲子園に行けなかった選手たちの姿にしっかりカメラを向けているところ。多くのスポーツ映画は勝者を中心に描くが、この作品は敗者側の涙や、その後の進路にまで目を向けていて誠実だと思った。監督の厳しい言葉に耐えきれず退部してしまう子もいれば、控えのまま3年間を終える子もいる。それでも彼らが「このチームで良かった」と語るインタビューが胸に迫る。勝ち負けを超えた“経験の価値”を感じさせてくれるドキュメンタリーだ。
映画としてのテンポや構成もよく練られていて、野球に詳しくない自分でも最後まで飽きずに観られた。随所に挿入されるスタジアムの風景や、練習場に差し込む光のショットが美しく、単なるスポーツ密着映像ではない“映画的な視点”を感じる。ナレーションを排し、監督や選手の言葉と場面の積み重ねで語るスタイルも好み。Netflixで気軽に観られる長さなので、高校野球を知らない海外の友人にも勧めたくなる作品だった。

















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