映画『アジアのユニークな国』のあらすじ・キャスト・感想を詳しく解説。山内ケンジ監督が描く現代社会の複雑な人間模様。

映画『アジアのユニークな国』は、介護と違法風俗の二重生活を送る主婦を主人公に、家族・社会・人間関係の矛盾を鋭く描く社会派喜劇。
ストーリーや見どころ、制作背景をわかりやすく解説。あらすじ・キャスト・感想・評価もまとめて紹介します。
アジアのユニークな国:ネタバレなし感想
「これは政治的な映画ではない。政治と社会に敏感な、ある妻についての話である。」という監督からのエクスキューズと、
「純粋社会派深刻喜劇」
というサブタイトルにニヤリとさせられますw
この作品を制作するにあたり「正しい事を言う話が以前にも増して多くなった」世の中に辟易していた山内ケンジ監督(本当に同感です)が「いいは悪いで悪いはいい」というスタンスで書いた、
「ひとつ屋根の下、1階で介護、2階で違法風俗」
というぶっ飛んだ設定で繰り広げられるストーリーが最高でした。

コロナ禍を経て、良くも悪くも「なにかに気づいちゃった」人々の思いをこっそり覗き見るような気まずさを表現した、リアルで絶妙な脚本と、それを演じる役者陣の演技に心から感動しました。

鑑賞後はタイトルにもなっている「アジアのユニークな国」について思いを馳せてしまいます。
観た人と飲みながら語りたい、ビターで大人な大傑作群像劇でした。

前作「夜明けの夫婦」でも登場した山内ケンジ監督の実家撮影と実父出演、野上信子Pは監督の奥様という、テーマに反してアットホーム過ぎる布陣にも笑いました。
最高!!!!
アジアのユニークな国:作品詳細
原題:アジアのユニークな国 製作年:2025年 公開日:2025年6月28日
上映時間:77分 ジャンル:ヒューマンドラマ 配給:スターサンズ
アジアのユニークな国:予告
アジアのユニークな国:キャスト・スタッフ
- 鄭亜美
- 岩本えり
- 金子岳憲
- 岩谷健司
- 鈴木将一朗
- 泉拓磨
- 島田桃依
- 浅井浩介
- 山内政勝
- 監督・脚本:山内ケンジ
- エグゼクティブプロデューサー:伊達百合
- 撮影・編集:渡部友一郎
- 音楽:大城静乃
- スタイリスト:増井芳江
- プロデューサー:野上信子、長井龍
アジアのユニークな国:あらすじ
映画『アジアのユニークな国』は、東京郊外の一軒家を舞台に、主人公・曜子の昼下がりの“もうひとつの顔”を浮き彫りにします。
夫が仕事に出ている平日、曜子は1階で義理の父親の介護に追われながら、2階では誰にも言えない違法風俗店を営むという秘密を持っています。
夫はまったく気づかない一方、隣家に住む主婦だけはその不穏な気配に気付き始める──家庭内で交錯する緊張感と静かな対立、現代社会の矛盾と多様な価値観が丁寧に描かれます。
物語は、日常の静けさの中で起こる人間模様やコミュニケーションのずれ、不条理さを鋭くユーモラスに描写し、どこか不器用で不完全な現実の家族像を浮かび上がらせます。
アジアのユニークな国:解説
『アジアのユニークな国』は、数々の社会派作品で注目されてきた山内ケンジ監督による“純粋社会派深刻喜劇”です。山内監督ならではの繊細さと毒のあるユーモア、鋭い社会観察力が全編に光ります。
演劇やCM業界で培った独自の演出手法により、平凡で閉ざされた日本の家庭の日常が、実は鋭く現代社会を風刺する装置であることを巧みに示しています。
キャストは鄭亜美を中心に実力派俳優が集結し、緊張感とユーモアの絶妙なバランスで複雑な心理を表現。スタッフワークも撮影・編集・音楽の細部に至るまで丁寧に作り込まれ、コンパクトながら心に刺さる空気感を生み出しています。
家族の暗部や社会のズレを描きつつ、観客自身の生き方や価値観まで省みさせる強烈な問題提起を含む意欲作です。
アジアのユニークな国:関連サイト
- 公式サイト:https://starsands.com/uniqueajia/
- Filmarks:https://filmarks.com/movies/122427
- 映画.com:https://eiga.com/movie/103818/
- JustWatch:https://www.justwatch.com/jp/映画/%E3%82%A2%E3%82%B8%E3%82%A2%E3%81%AE%E3%83%A6%E3%83%8B%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%81%AA%E5%9B%BD
- IMDb.com:https://www.imdb.com/name/nm14174608
- 『アジアのユニークな国』山内ケンジ監督 撮影条件から生み出す物語【Director’s Interview Vol.500】|CINEMORE:https://cinemore.jp/jp/news-feature/4060/article_p1.html
- 山内ケンジ最新作『アジアのユニークな国』6月28日公開 違法風俗を営む一家の日常描く|Real Sound:https://realsound.jp/movie/2025/04/post-2001547.html
アジアのユニークな国:配信
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アジアのユニークな国:関連
とにかく「At the terrace テラスにて」をまず観ていただきたいです。
アジアのユニークな国と同じく、山内監督の実家を使って撮影された、夜明けの夫婦も傑作です。
アジアのユニークな国:SNSでの主なユーザーレビュー
「破天荒な設定でありながら、登場人物の空気感や会話の妙が絶妙。リアル過ぎて思わず苦笑する瞬間も多い。鄭亜美さんの演技はすばらしく、山内監督ならではのブラックな笑いが随所に感じられる。」
「家庭の閉塞と政治的風刺が重なる展開が印象的。違法風俗の場面でも下品になりきらずに“社会”そのものへの問いかけとなっている。笑っていいのか戸惑うシーンも面白い!」
「ピンク映画風のブラックコメディだけど明確な皮肉がきいた社会派。会話劇のテンションが絶品で、よそゆきでない日常会話の生々しさが最大の武器になっていると思う。」
「夫婦・家族のリアルと“あきらめ”に満ちた社会風刺に鋭さを覚えた。予想外のラストも含めて、社会の空気と個人の選択の行方を考えさせられる一本。」
「好き嫌いは分かれると思うが、今の日本の“何も解決しない感じ”や、正しさが今ひとつ明示されない社会の閉塞をよく映している。R18指定のわりに品があり、全編通してユニークだった。」
夫の出勤中、1階で義父を介護しつつ、2階で密かに違法風俗を行う主婦の存在が新鮮。常に誰かの視線がありつつも平然と生活が続く、現代日本社会の独特な居心地の悪さとブラックユーモアのバランスが絶妙。
ドラマ性・社会性・コメディのバランスが突き抜けて良い。政治や倫理観の議論になる一歩手前で登場人物の“おかしさ”が前に出るので肩の力を抜いて笑える。山内ケンジならではの観察眼と日常会話の妙。
家庭も社会も“二重構造”なのだと痛感させられる。ありふれた日本の家のなかに、まったく違う顔が潜んでいることのリアリティ。俳優陣、特に鄭亜美のさり気ない熱演にずっと引き込まれる。
R18指定ながら奇をてらわず、淡々と展開。違法を行う動機や葛藤の背景も語られすぎず、余白に社会の現実が滲む。じわっとくるラストが素晴らしかった。
シンプルながら何度でも考えたくなる仕掛け。コミカルでドライな視点が独特で、小津やブニュエル好きにも響く空気感。家庭と社会の“見えない壁”を改めて考えさせられる秀作。
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