映画「鍵泥棒のメソッド」内田けんじ監督の傑作コメディを徹底解説

内田けんじ監督による2012年公開の傑作コメディ「鍵泥棒のメソッド」は、売れない役者と記憶喪失の殺し屋という対照的な2人が銭湯での偶然から人生が入れ替わる奇想天外な物語。堺雅人、香川照之、広末涼子の豪華キャストが絶妙なバランスで織りなす、笑いとサスペンス、恋愛要素が絶妙に融合したエンターテインメント作品として、第36回日本アカデミー賞最優秀脚本賞をはじめ数々の賞を受賞し、韓国・中国でもリメイクされた話題作です。
鍵泥棒のメソッド:ネタバレなし感想
2018年の邦画界のニュースはカメラを止めるな!のヒットでした。懐かしいですね。
その際に参考にしたのでは?と言われていたのが三谷幸喜監督の「大空港2013」でした。
三谷幸喜監督「大空港2013」
全編ワンカットで描かれる空港でのドラマ。演劇をそのまま映画に持ち込んだといっても過言ではないワンカット撮影。観ているこちらがドキドキするつくりはさすがでした。
最後まで飽きないドタバタ劇が素晴らしいです。裏側まで妄想してしまうとても楽しい映画でした。三谷作品では一番好きかもしれません。
とはいえ、カメラを止めるな上田監督に対して「三谷幸喜のパクリだ!謝罪しろ!」とのたまう方々はちょっとどうかしていると思いましたw
内田けんじ監督「運命じゃない人」
そしてもう一作品が、内田けんじ監督「運命じゃない人」
恥ずかしながら当時、内田けんじ監督作はこれが初めてでした。
とにかく構成というか脚本が素晴らしく、小出しに展開する人間模様がどんどん変化する様が気持ちよかったです。
で、パクリかどうか、なんですが、小説で言うところの叙述トリック?ミスリードを巧みに誘うつくりがそうだというだけで、別に謝罪は必要ないと思いましたw
内田けんじ監督:アフタースクール
面白かったので内田けんじ監督作を観てみようということで、「アフタースクール」を。
こちらも練りに練られた脚本、ミスリードにつぐミスリードで観てるこちらが翻弄されます。
で、最後に観たのが「鍵泥棒のメソッド」でした。
鍵泥棒のメソッド
香川照之×堺雅人×広末涼子


今では曰くつきになってしまった二人を含む、主演三人がめちゃくちゃ魅力的でたまりません。演技力が醸し出す実在感」。特に広末涼子の水嶋香苗がたまらなく好きです。いるよねこういう人。



アフタースクールのとき存分に楽しかった、ミスリード→伏線回収が本当に気持ちよかったです。内田けんじ監督自身によるオリジナル脚本だそうです。
3人のインタビュー。演技をどう行ったか、などを読むと作品をより楽しめます。
この手のお話は二度目観て面白いかどうかだと思っています。
伏線回収ありきのストーリーだと、二度目がつまらないって事になりがちですが、二度目もしっかり楽しめます。ミステリー要素がアフタースクールより少なくなっているのも好みなところです。香川照之さんの演技の変化も素晴らしく、ラストの切れ味が最高です。
本当に面白かった。オススメです!
韓国版リメイク:LUCK-KEY ラッキー
鍵泥棒のメソッド:作品詳細
製作年:2012年 公開日:2012年9月15日 製作国:日本 上映時間:128分 ジャンル:コメディ 配給:クロックワークス
鍵泥棒のメソッド:予告
鍵泥棒のメソッド:キャスト・スタッフ
- 桜井武史:堺雅人
- コンドウ(山崎信一郎):香川照之
- 水嶋香苗:広末涼子
- 工藤純一:荒川良々
- 井上綾子:森口瑤子
- 水嶋翔子:小山田サユリ
- 水嶋京子:木野花
- 水嶋徳治:小野武彦
- 監督・脚本:内田けんじ
- 製作:深瀬和美、赤城聡、大西洋志
- 製作総指揮:藤本款、和田倉和利
- 音楽:田中ユウスケ
- 主題歌:吉井和哉「点描のしくみ」
- 撮影:佐光朗
- 編集:普嶋信一
- 製作会社:「鍵泥棒のメソッド」製作委員会
鍵泥棒のメソッド:あらすじ
35歳で売れない貧乏役者の桜井武史は自殺を図るも失敗し、絶望の中で向かった銭湯で羽振りの良い男・山崎信一郎と遭遇する。
山崎が足を滑らせ頭を強打して記憶を失った隙に、桜井は出来心でロッカーの鍵をすり替え、彼の人生を手に入れる。しかし山崎の正体は伝説の殺し屋「コンドウ」で、桜井は危険な依頼に巻き込まれてしまう。
一方、記憶を失い自分を桜井だと思い込んだコンドウは、病院で出会った雑誌編集長の香苗と交流を深めながら、真面目に役者の道を歩み始める。
計画的で几帳面な性格のコンドウは、桜井の荒んだ生活を立て直し、努力を重ねて成長していく。そんなコンドウに惹かれた婚活中の香苗は、ついに彼に結婚を申し込む。しかし、やがてコンドウの記憶が戻る時が訪れ、3人の運命は思わぬ方向へと転がっていく。
鍵泥棒のメソッド:解説
「アフタースクール」で注目を集めた内田けんじ監督が4年ぶりに放つオリジナル脚本による傑作コメディ。
本作の魅力は、単なる入れ替わり物語に留まらない緻密な脚本構成と、主演3人の絶妙な演技にある。堺雅人演じる桜井は典型的なダメ人間だが、香川照之のコンドウは記憶を失っても持ち前の几帳面さと向上心で困難に立ち向かう。
この対比が物語に深みを与えている。広末涼子の香苗は感情を抑えた冷静な女性として描かれ、3人の化学反応が見どころとなっている。
内田監督は約1年半をかけて脚本を執筆し、撮影中も常に書き直しを行うほどのこだわりを見せた。その結果、コメディでありながらサスペンス要素も併せ持つ、観る者を最後まで飽きさせない娯楽作品が完成した。
第36回日本アカデミー賞最優秀脚本賞をはじめ、キネマ旬報ベスト・テン日本映画脚本賞、芸術選奨文部科学大臣賞など数々の賞を受賞し、その脚本の巧妙さが高く評価されている。
鍵泥棒のメソッド:関連サイト
- 映画.com:https://eiga.com/movie/57323/
- Filmarks:https://filmarks.com/movies/16105
- JustWatch:https://www.justwatch.com/jp/映画/jian-ni-bang-nomesotsudo
- 映画.com インタビュー:https://eiga.com/movie/57323/interview/
- TOWER+内田けんじ監督インタビュー:https://tower.jp/article/interview/2013/05/10/tower009-3
- 映画と。内田けんじ監督インタビュー:http://eigato.com/?p=10038
鍵泥棒のメソッド:原作
麻井みよこによるノベライズ版が角川文庫から刊行されています。
鍵泥棒のメソッド:配信
鍵泥棒のメソッド:SNSでの主なユーザーレビュー
脚本はもちろんのこと、演出が秀逸な映画だと思う!笑いを取りにいこうとしないシリアス・リアリズム演出のギャップに笑ってしまうし、緊張感を必要とする場面でしっかり作用されているのが凄い。この手のコメディ映画でヤクザ/ギャングをちゃんと怖い存在として描き切ったのは偉大!
昔観て面白かったなあと思い、韓国リメイク版『LUCK-KEY/ラッキー』を観るために復習。とても面白かった!!です。脚本がとてもよくて「もしもお風呂屋で会った人と人生が入れ替わったら?」というお題に対して綺麗なアンサー。堺雅人×香川照之は絶対面白くなる組み合わせなのね。
銭湯で転倒し記憶喪失になった、羽振りの良い男。ロッカーの鍵を盗んで売れない役者が入れ替わった彼は、凄腕の殺し屋だった⁉︎記憶が戻ってからの後半の纏め方はやや冗長感があるし、広末涼子が彼の記憶を呼び戻すくだりなどは今ひとつ上手いとは言い難く、キャラクターありきの話運び。
香川照之はほんと演技が上手い。話の中で、チンピラ役を指示されカメラに向け銃口を向けるシーンがあるのだが、いまにも引き金をひきそうな迫力ある表情にドキドキしてしまった。コンドウが少しでも記憶の手掛かりを掴もうと愚直にノートに書き留めていく姿勢に感銘を受けた。
堺雅人×香川照之の黄金コンビが、半沢前に製作されていたとは…やはり演技が上手いな〜と再認識させられた。半沢直樹が好きなら観て損は無い良作。笑いあり、緊張あり、恋愛あり、感動あり、そして最後は気持ちよく終わる素晴らしい作品でした。

























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